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JDI落日に見る日本「技術力」への過信

JDI落日に見る日本「技術力」への過信

 

412日のニュースで、JDI(ジャパンディスプレイ)が台湾や中国の企業連合から最大800億円の支援を受けることで合意したと発表されました。

 

Yahoo!ニュースより(出所 時事通信社)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190413-00000022-jij-bus_all

 

 

◆技術力の高さという盲目

日本の技術力は高いものの、ビジネスで負けているということが言われ続けています。

 

採用現場の最前線を見ていても、メーカー各社は自社の「技術力の高さ」を強調し、他社は早々に真似は出来ないと伝えて就活生に宣伝します。

 

実際にこの記事の中でも、この下線部分の表現がとても気になりました。

JDI2012年にソニー、日立製作所、東芝の中小型液晶事業を統合して発足した。2年後の14年に東証1部上場を果たした際、大塚周一社長(当時)は自社製品の強みについて「非常に技術的に難しく(他社の)参入障壁が高い」と強調。「中小型液晶市場でグローバルの覇者になりたい」と豪語した。

 

原因は色々ありますが、アップルへの依存体質から脱却出来ない中、新機種に有機ELが採用されたこと。

ディスプレイのコモディティ化(汎用化)により、結果的に価格競争に巻き込まれ製品を安く提供せざるを得なかった。

 

しかし、一番の原因はやはり、経営を見誤り、ビジネスとして先見性を失っているにも関わらず考えや態度を変えなかった技術への過信ではないかと思います。もし、発足してからこの7年間のどこかで、経営陣の誰かが市場を冷静に見渡し、先を見据えて次の打ち手を練って方針転換をしていたら。

もし、この技術力には高い参入障壁があって、他社が追随することは難しいという考えをどこかで誰かが立ち止まり、果たして本当にそうかと足元を疑うことができていたら。

 

そんなタラレバを考えてしまいます。

 

というか、冷静に考えてみれば、そもそも小型・中規模ディスプレイ市場はアジア各国関連企業が半導体市場を日本メーカーから全て塗り替えたように、既にその技術力とビジネスのスピード感で見劣りしていて、勝負すべき土俵を間違えていたのではないでしょうか。技術力という言葉の魔力に溺れて、中国にはその技術優位性を崩すことはできないという思い込みが、今回このような結果を招いたのではと思わざるを得ません。

 

そして、今でも月崎社長は、「われわれはグローバル企業という認識だ。枠にとらわれず資金調達をしていく」と会見で述べていていますが、JDIが後追いで、有機ELで市場を取り戻すのは至難の業のような気がします。

 

◆日本はなぜ、ビジネスで負けてしまうのか

それは、時代にニーズにそぐわない、コストバランスに欠け、利益率を重視しない傾向があるように思います。

今は、まだ化学・素材メーカーにおいてはその競争優位性を保ててはいますが、これまでの経緯を見ていると、今後同じ道を辿ってしまうかもしれません。世界で勝つためには、常に時代の要求に応え、利益率を重視しながら、高付加価値かつコスパの良い製品を送り出す必要があると考えます。

もちろん、改良や改善は得意であることは素晴らしいですが、革新的なものを生み出していくチャレンジスピリットは中国の貪欲さには負けていることを認めざるを得ません。

 

今後日本の液晶メーカーが高い技術力を誇り競争優位性を保ちながら世界に勝つためには経営戦略として

1.     その製品が搭載される機器のコストのうち、何パーセントまで液晶部品のコストが許されるのか

2.     また、そのコストで戦うメーカーは、いつ、どこに現れるのか。

3.     さらに、その製品クラスで、どのくらいの高精細液晶が求められ

4.     それがどの程度、製品そのものの差別化につながるのか

といったストーリーを精緻に組み上げていくことが必要なのではないでしょうか。

 

日本を代表する企業は中国台湾連合の軍門に下ったことは非常に悔しいことではありますが、これを教訓に、今後も世界を舞台に技術だけではなく、経営・ビジネスで勝てる企業を増やしていくためにも、戦略・戦術レベルまで都度立ち止まって練り直し、スピード感を持って革新的な製品を生み出していってほしいと思います。