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文系は新卒から営業職をしておいた方がいい理由とは(2/2)    

 

前回のブログでは、特に文系は、新卒から営業を経験しておいた方がよいメリットについて取り上げました。

 

ニガテなものは後回し?

 

夏休みの宿題や、嫌いな食べ物は最後に残してしまいますか?すると、その時には非常に大きな負荷(ストレス)がかかります。

 

もし、新卒で配属されなければ、自ら希望を出し、少なくとも20代のうちに営業を経験しておいた方が後々絶対にお得です。

 

少々荒削りな言い方をすれば、営業をやりたくないということは、仕事をしたくないと言っているのと同じです。

そのこと自体を否定するわけではないので、公務員を始めたとした事務職に就職する方向で勉強をするか、本当に仕事をしたいと思っているのか考えた方がいいです。なにせ、求人数は、一気に全体の2~3割程度に減るからです。

企業が、事業組織として成立していることの原点には営業があります。顧客からお金をいただき、その対価、すなわち期待に応えるための製品・サービスを提供する。この、「稼ぐ・お金をいただく」ことが、自社の収益・利益となり、そこで働く従業員の給料に反映されます。

支払う側がどのような思いでお金を出すのか。

受け手側はその思いにどのように誠意を示すのか。

相手の気持ちに徹底して寄り添い、答えを提案していくことが大切です。

それでは、新卒から営業ではない場合にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

 

新卒や20代で営業を経験しない場合のデメリット

 

 

1)人(顧客)の本当の気持ちが心から理解できない

「現場を知る」ということをよく言われます。現場、とはなにを指すのか。

企業なら営業や販売などの接客。事務職なら窓口やコールセンター。警察なら交番。共通して言えることは、「顧客と最も接点の近い業務」です。その現場で、お客様の要望を直接聴き、ニーズや課題を知り、必要とされる製品やサービス、知恵やノウハウを提案することで解決していきます。

よく、「相手の立場に立って考える」「思いやりの気持ちで接する」という言葉も耳にします。

 

誰しもそれを経験し、そして、その心構えで生きているわけですが、営業を経験していないと、お金を直接いただいている相手(顧客・企業)が、本当はどのような思いでいるのか。その立場に立って考えることは絶対にできません。

 

なぜなら、自分が現場にいないからです。現場に居て、かつ、相手(顧客・企業)の気持ちを肌で感じとる。なにを優先しているのか。どのような価値を大切にしているのか。それを心から知ることができた時、初めて、「思いやりの気持ち」を持ち、昇華することができます。

 

現地・現場に出向き、相手と直接関わり、時には冷や汗をかき、ヒリヒリしながら頭の下げた経験、「現場経験」が無い人には、そのような真の思いやりの気持ちは永遠に理解できませんし、営業の方にはかないません。

2)「板ばさみスキル」が身につかない

板ばさみスキルとは、理不尽な状況に置かれた際に、うまく相手のふところへ飛び込み、なんとか理解・協力を得て目的の方向へ業務を進める力です。

よく、「提案力」や「交渉力」「調整力」というかっこいい表現が使われますが、簡単に言えば、「板ばさみスキル」であり、「理不尽な状況に耐えられるスキル」のことです。

納期が迫る中、製品が追いつか方で、上司になんとか顧客の要求を満たしたい旨をプレゼンする。時間が無い中、代替品を多少ディスカウントで顧客に再提案してよいかお願いする。原価ギリギリだから無理だと断られても食い下がる。値下げが無理なら、工場長へ一緒に掛け合ってもらえないかお願いし、生産スピードを早めてもらう。なんか期日には間に合いそうだが、数量が追いつかない旨を顧客へ説明し、その変わり他のサービスを付帯する、など、徹底して打ち手を考えるそのプロセスそのものが、スキルです。

この経験は、今後30代になって部署移動した際にも、どのような業務、どのような職種でも役に立ちます。最後の最後まで、双方の顔を立てながら、なにか良い打ち手、解決方法はないか、徹底して考え抜く。これらのスキルは、実際に若いうちから体験していないと身につきにくいもので、30代、40代と遅くなってからでは負荷がかかり心が折れる場合があります。

3)転職での間口が狭くなる

これは、二次的・副次的なデメリットですが、新卒就活時に営業職がほとんどであると同様、転職市場においても、対人接客業、すなわち法人・個人へ向けた営業職の募集は多いです。営業の経験が全く無いまま30代を迎えてしまうと、その後のキャリアを描く上で、選択肢が非常に狭まりますし、顧客と自社の板ばさみになりながら、理不尽に耐えるスキルが無いのは、転職市場の人材市場価値として致命的です。

 

自分の長いキャリアの後半で苦労する

日本企業で総合職を前提とした就職活動の場合、部署移動はほとんど誰にでもあります。

もし、最初の配属が窓口ではなく人事や経理、バックオフィス(後方事務)の場合、目の前の業務は1つずつ覚えて経験・知識を蓄積していくことはできます。しかし、目の前の書類をさばくことにしか目が行かず(特に新人の場合)、実際現場で何が起きていて、どのように受注に至ったのか、その経緯や背景にある苦労を知ることはありません。

 

しかし、現場(営業)経験がある人と、本社勤務のみでエンドユーザーに直接怒られたり急かされたり、無理な要求を突きつけられたり、突発的な状況に対応したりしたことが無い人。つまり、先ほどの「板ばさみスキル」や「理不尽に耐えうるスキル」が身についていないキャリアの人は、転職時にその募集の大半を占める営業職にエントリーすることができずに間口が狭まります。

 

また、35歳、40歳まで営業を知らずに、キャリアの後半から部署移動により営業を1からスタートとなると、柔軟な思考や行動力は若い頃よりも確実に落ち、硬直しているので(一般的には、年を重ねるごとに考えが確立し、頑固になるため)、年下の先輩に聞きづらかったり、膨大な製品の専門知識を覚えたり、顧客の業界動向を把握したりする、あらゆる柔軟な思考や行動を取る際に相当な負荷とエンジンをかけなければなりません。

 

 

誤解を恐れず言えばちょっと「ズレ」た人になる

一概には言えませんが、大学教授や医者など、一度も、企業経験も営業経験もない方の中には、「この人変わった人だな」どころか、少し世間と感覚が違う人だな、と感じたことがある方は居るのではないでしょうか。

そのような先生と呼ばれる職業や職人的な働き方をしてきた方、または、企業経験のある方の中でも、長年、現場を知らずにコーポレート(管理)部門だけできた人とでは、決定的な違和感があるケースがあります。

 

それは、

 

・「稼がせていただき、飯を食っている」という感覚の欠如

 

です。

 

業を営む問い書いて営業。ということは、顧客からお金(報酬)をもらい、その報酬に見合うような製品・サービスを提供することで自社に利益をもたらす、つまり「稼ぐ」という業務が営業職です。

 

繰り返しますが、これまでのキャリアにおいて、顧客に直接直接怒鳴られたり急かされたりした経験が無い人には、稼いて給料を得る、利益を上げることで自分の生活が成り立っているという原理原則、当然の感覚が抜け落ちている人がたまに居ます。

 

それは、当然です。なぜなら、外との接触をしたことが無いからです。内部のことしか知らない人には、自分で頭を下げて稼いできた経験が無いので、視野が狭くなり、毎月自動的に通帳に数字が記帳されているという感覚になっていると思われても仕方ありません。

 

もちろん、管理部門の中でも、自己責任において相手の気持ちを尊重し主体的に考え行動できる優秀・有能な人材はたくさんいます。逆に、外回りしてるつもりでサボってばかり、なにかあったら管理部や他者に責任を押し付ける営業パーソンがいる事も事実ですので、職種で差別するつもりは全くありません。

 

ただ、営業を経験していない内部の環境だけで生きてきた人材は、先方の顧客を目の前に、冷や汗をかく経験が無いので、本人のせいではなく、管理部門はそのような構造的な問題をはらんでいる、ということです。

 

しかし、人生で一度、がっつり経験をしておけば、相手(顧客が)自社製品やサービスにどれだけ思いを込めて改善や向上のためにお金を払っているという心情をダイレクトに受けることができます。

また、どんな悩みや困った状況を抱えているのか、という現実を顧客とともに肌で感じ、「相手の気持ちと同じように自分も辛いし苦しい。なんとかその要望に答えたい」という呉越同舟な心が自然と醸成されます。

 

 

 

この、ビジネスの根幹であり企業存続の柱である営業をまずは肯定し、 自分に営業は向いていない、と短絡的に決めつけるのではなく、 前向きに仕事に取り組みたいという気持ちを明確にすることから、各業界の営業職を見ていくようにしてください。