就活を進めていくと、圧倒的に大好きになってほれ込んでしまった企業というのが出てきます。
恋愛にたとえるなら、出会った瞬間に一目惚れして、もうその人意外には視界に入らないみたいな。
◆本音は正義ではない話
「御社が第一志望です!」
という決まり文句について、そのように言った方がいい場合と、そんなの嘘くさいから、言わないで正直に話した方がいいと、2つのアドバイスが混在します。
結論的には、「御社が第一志望です!」と言った方が良いに決まってます。
理由は2つ。
1つは、第一志望ではないけれど受けていると言っている学生と、圧倒的に第一志望でどうしても御社に入社したいと言っている学生を天秤にかけジャッジしたら、自社にどうしても入りたいと思う学生を人事や役員は採用したいと思うのが人間の自然な心理だからです。
もう1つは、社会人としての適性が低いとジャッジされるからです。
この、「御社が第一志望論」については、たとえるならば、とある日、目の前の上司が部下に対して
「オレのネクタイ娘からもらったんだけど、似合う?」
と言ってきた上司に
「すごくお似合いですよ!」
というような社交辞令トークと同じなのです。
御社は第一志望ではありませんと言い放つ行為は、
「いや、そのネクタイかなり趣味悪いっすよ」と言ってしまう部下と同じです。
ネクタイがどんなにダサくても趣味悪くても、「とても素敵なネクタイですね」と言えない人は、社会人の適性として向いてない可能性があると人事はジャッジするでしょう。
つまり、本音が正義で、なにもかも思っていることを正直に言う事が正しいと考えている心がピュアな方は、きっと社会人となって苦労します。
社会とは、嘘や騙し合いの世界です。
社会とは、虚構と社交辞令の世界です。
社会とは、本音が悪になる世界です。
社会とは、正直者がバカを見る世界です。
社会とは、理不尽な世界を狡猾に生き抜くものです。
どうしても、自分に嘘をつきたくない。
本音と建て前を使い分けるなんてまっぴらゴメンだ!と考えている方はそれを貫いてください。
ただ、絶対に後悔はしてほしくないので、選考で落とされた時に、あの時、御社が第一志望ですと言わなかった事が影響したのかな…とは絶対に思わない心の強さと自信を持ってください。
積極的に嘘をつけという意味ではなく、その場、その状況に合わせて、TPOをわきまえながら、柔軟に本音と建て前を使い分けるスキルを就活の今から身につけてください。
◆なぜ御社が最高!がヤバいのか
であるならば、「圧倒的に御社が第一志望です」ということに対してなんの問題も無いかと思いますが、そうではありません。
理由が、「とにかく好き、大好き、たまらなく好き、愛している」と一方的に言われても引きます。
相手の立場になって考えることを習慣にするならば、これをどう変換すれば、相手から引かれないでその本気度を納得してもらえるでしょうか。
「興味・関心がある=好き」
と
「高く志望している=向いている」
は全く意味が異なります。
企業が知りたいことは、あなたがどれだけ自分(企業)を好きか、という理由ではなく、あなたがどれだけ相手(企業)にとってメリットがあり、相手にとって適性が高いか、マッチしているかを知りたいのです。
一方的な好きは恋愛同様、ひとりよがりで相手の気持ちを全く考えていません。相手に、自分がどれだけ合っているか、向いているか、適性が高く、貢献できるかということを、過去の事実から証明していくことがESであり面接なのです。
志望動機を見ていると、興味や関心がある、
好きになった「きっかけ」を述べているにとどまっている人がとても多いです。
その企業の商品が好きなのは当たり前で、それは、「あなたの容姿が好きだから」と告白してるのと同じ位、うすっぺらく表面的なところしか見ていないのと同じです。
気を抜くと、「御社最高!見た目もいいし、雰囲気いいし、いい感じの人多いし、給料高いし、社会的評価高いしとにかく最高!!」に陥ります。
そうではなく、相手の内面や本質のどのような特徴に共感し、相手の良さや特徴に対して、自分の強みや良さをどのように発揮できるか。それを論理的に証明してください。
御社が第一志望群ですと言ってしまうミステイクと、御社が最高!と表面的に言ってしまう浅はかさは、同じ位、罪深いです。
じっくり企業を分析し、相手の本質や特徴をとらえた上で、あなた自身が会社にとって有益な人材であることを、熱を抜いて冷静かつ論理的に伝えてください。