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「売上2倍」系エピソードそろそろやめない?

◆店舗での売上2倍は誰のおかげ? 

アルバイト先では、競合の新店舗ができたこともあり売上が低迷していた。

状況を改善するために私は新商品の提案をして売上を2倍にした。

 

このような「売上貢献エピソード」は毎年たくさん見ます。

 

同じようなエピソードをたくさん聞いている面接官は、

 

・低迷の原因や背景

・危機感は皆持っていたか

・商品提案は自分1人か

・商品提案はいつ生まれたか

・商品提案は本社指示ではないのか

・提案に際しなにを考えたか

・どんな打ち手を練ったか

・ほかに手法は考えたか

・結果どうなったか

2倍は新商品のおかげだけなのか

2倍はあなただけの成果なのか

 

を掘り下げます。

そのようにしてなんとか同じエピソードの学生たちに差をつけていくわけですが、人事的にはいつもモヤモヤします。

 

 

◆売上2倍よりあなたらしが他にあるのでは

ほぼ毎年、アルバイトで売上2倍の話を聞くので、自分を知ってもらうためのエピソードは本当にそれが最適なものなのかなと、モヤモヤします。

 

もっと他に、別の場面における行動の中にその人らしさがあるのではないかと考え、ついつい他に自分らしさが発揮された具体的なエピソードを聞きます。

 

それでも、目立つPOPを作ったり、呼び込みをしたり、品出しや陳列方法を工夫したり、レジの手さばきを工夫したりと似通った(聞いたことあるような)ネタが出てきます。

 

それでも諦めずに、それ以外でなにか印象に残っている、喜怒哀楽がはっきり出たようなエピソードがありますか?と尋ねます。

 

すると、お客様対応について出てきます。

自分からオススメ商品を話したり、世間話をしてみたり、言われる前に常連客の商品を用意してみたり。やはり、聞いたことがあるようなネタが出てきます。

 

◆冷静慎重やAと活発行動派のB

じゃあ、居酒屋やカフェやコンビニでアルバイトしている多くの学生の最適解はなんなんだと思いますが、答えはありません。

 

おいおい、と思うかもしれませんが、なにを答えれば相手に響くという万能なエピソードは本当にありません。

なぜなら、人事があらゆるエピソードを聞き慣れているというのもさることながら、人が人をジャッジする以上、同じエピソードでも評価がまるっきり変わるからです。

 

・表情は変えず、やるべきことを迅速かつ的確に行い、とても細かい作業やちょっとした雑務も苦手にせず行える。そして、事実から情報を整理分析した上で冷静に判断し的確に業務を行うことができる慎重冷静タイプA

 

・作業は無計画でおおざっぱなところもあるが、いつも明るく元気で笑顔を絶やさず、店舗のムードメーカー的な存在であり、お客様の人気投票もビラ配りの枚数も常に上位のガサツで愛嬌のある行動派タイプB

 

このようなキャラクターの違うABが、同じように新商品を提案して売上を2倍にしました、と言われたところで差別化はできませんし、もっと他の場面でそれぞれの性格や行動特性が発揮された行動事実があり、それを人事は知りたいのです。

 

慎重冷静なAが、お客様のリピート獲得でNo.1になることは、行動派のBが新規顧客獲得数No.1になることよりも、努力指数は高いはずです。

 

逆に、棚卸し時の過不足を1点の数えミスなく計算しデータ入力してまとめあげる作業を1日で終えたAよりも1週間かかったBの方が苦労しているはずです。

 

彼らの性格の差による各業務の難易度は、公平になるように標準化した上で、それぞれの行動における独自のやり方、手法、工夫、どう打ち手の練りながら進めていったのか。

 

これらを深く掘り下げて聞いていくことで、彼らの良さや強みを引き出し、活躍可能性を見出していきます。

伝えたい強みは、CS(顧客満足度)なのか、棚卸し(ミスの無い在庫確認)なのか。

 

少なくとも、彼らの強みを証明する時に、売上を2倍にしたことをあえてもってくる必要はないです。

 

 

◆クレーム対応と過酷な職場環境

評価マニュアルはあるものの、人が人をジャッジする以上、評価にどうしても誤差は生まれます。

 

そんな中で、万全なエピソードが欲しいところですが、そんなものは存在しない。

では、平凡なアルバイトで、そつなく淡々とこなし、目標も特に持たずにのらりくらりとお小遣い稼ぎと割り切って働いてきてしまった人はどうすればよいか。

 

1.とんでもなく怒鳴られたクレーム

 

または、

 

2.超絶パワハラ店長のもとでの在職

 

が、売上2倍よりはマシです。

※これらを言えば正解という意味ではなく。

 

顧客からの要望にきちんと対応できていない時にクレームは起きます。

これは、どの業界に所属していてもほぼ起きます。文系が就く営業職であればなおさら起こります。

 

多い場合、BtoCの顧客対応で1100件ほど(サービスリクエスト的なクレーム前のものも含めて)のクレーム電話が鳴り続けることもあります。

 

そこまでの経験はしていなくとも、接客業をしていたら、クレームの1つや2つは受けたことがあるでしょう。

 

その時に、なにが原因で、それをどう分析し、改善した上で次からどのように業務に反映させたのか。この一連の経験は、あらゆる業界・職種に有効だと思います。

無駄に売上2倍系を成果に持ってくるよりも、この状況から脱却した話の方が興味深いです。

 

それから、

パワハラ店長の怒号が飛び交うようなブラックな職場で、同期の新人が次々と辞めていく中で、自分はなんど怒られても叱られても反省し、改善し、次からは同じ失敗をしないように業務に生かした、という話も有効です。

 

このご時世、怒号が飛び交う職場はそれこそハラスメントで訴えられる可能性があるため少ないですが、どの職場にも「厄介な上司」は存在します。

そこでの世渡りスキル、ストレス対処能力や業務改善能力は、入社後の活躍可能性を感じさせます。

 

ESも面接も、相手の立場になって考える。

つまり、自分がなにを伝えたいかではなく、相手(企業)がなにを知りたがっているのか

を想像した上で、自分の個性や行動特性が最も伝わるエピソードを伝えていきましょう。