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グローバル企業ってそもそもなんだ?  

 

 毎年、多くのESを添削している中で、設問の中に

「あなたの企業を選ぶ軸を教えてください」という項目があります。

 

そこで、

 

ものづくりに携わっている

 

技術力がある

 

グローバルに展開している

 

など、自分が企業を選ぶ上で軸にしているキーワードを明示し、理由とともに記載していくのですが、これではだいたいどのメーカーにも当てはまってしまいます。

 

そもそも、就職活動の軸は、自己PRや学生時代に頑張ったことなどのベースとなる自分の職業観示す項目。

 

そして、業界や企業研究などの社会を知る作業の結果導き出した志望動機の両方に共通する「どのような働き方をしていきたいのか」を示すことがその目的にあるべきです。

 

参考

仕事は憂鬱なもの?就活の軸の考え方

 

 

◆ものづくりなら何でもよい?

ものづくり=製造業であれば、自動車メーカーでも化学メーカーでもよいということになりますが、産業のすそ野が広く、あらゆる業界に関わっているのは自動車よりも化学品メーカーなので、化学メーカーを志望するというロジックなら矛盾は確かにありません。

 

しかし、アップルに代表されるような工場を一切持たない「ファブレス経営」で、日本の自動車産業に代表されるような「ケイレツ」的な慣れ合いは無く、その時その状況に応じて取引先を変え、コストを叩き、圧倒的なコスパとスピードで革新的な製品を世に生み出している経営戦略を取るメーカー。

 

または、ファストファッションのH&Mやユニクロなどに代表される小売りだけではなく、企画から製造まで一貫して行うSPA(製造小売り)のビジネスモデルでその時、その状況のニーズに応じて適正に在庫を管理し流通に革命を起こしいているアパレル各社など、メーカーとひとことで言えども戦略は様々。

 

ですから、

産業のすそ野が広く、世界中の人々を相手にものづくりに関わりたいという理由なら、化学メーカーでなくても、トヨタでも東レでも、アップルでもユニクロでも良いということになります。

 

ものづくりという製造業の根幹に対して、

どのようなアプローチで関わっていきたいのか。
もう少し掘り下げなければ結局他の業界でもその軸って通じますよね?

というツッコミになります。

 

ものづくりというメーカーの本業に対して、営業としてなのか、技術者としてなのか、それ以外なのか。

あるいは、営業としてどのように社会へ展開させていきたいのか、または自分ならそれが可能なのか、というところまで考えた上で「ものづくり」という言葉がより鮮明になってきます。

 

◆確かな技術力とは

次に、技術力があるというのは、どのような尺度で見ればよいでしょうか。

製造業=メーカーは、総じて日本の技術力の高さは海外からも一目置かれていることは確かです。それが、品質が良くで、かつ低コストを実現できれば国際競争力は高くシェアを伸ばすことができます。

しかし、昨今は新興国の技術革新も目覚ましく、低コストで品質もそこそこ保たれていて、かつ、ものすごい決断力とスピードで経営しているグローバル企業が、日本の技術力の高い伝統的な企業のシェアを奪っています。

 

これまでの圧倒的なシェアの中で、高い競争力を今後も保ち続けられるとは限りませんし、もし、今の技術力にあぐらをかき、

「シェアが1位だから御社です」

という理由だとしたら、かつて世界シェアの50%以上を占めていた日本の半導体やテレビのメーカーの凋落を見れば、それを理由に企業を選ぶ就活の軸とするのは、企業が望む人材としてはズレています。

 

また、技術力も様々で、半導体やテレビなどは、ここ10年15年であっという間に技術が中韓台に追いつかれ、追い抜かされました。島国で職人気質の日本人の気質からか、それもで、「日本の技術力は素晴らしい」と信じて疑わず、高品質で技術力はあるが商売には向いていないと揶揄されてしまう状況。

技術力が確かなことは、世界中の誰からも明確に認識されいて、それが目的になってはならず、そこからどのように付加価値をつけて商売していくかだと考えます。

それは、スピードなのか、コストなのか、品質なのか、機能・性能なのかは企業の戦略次第ですが、

もし「技術力のある企業」という就活の軸なのであれば、どのような戦略で舵取りをして、今後もシェアを維持拡大していけると考えているのか、持論を持つべきです。

 

単に、技術力がある企業というだけでは、テレビや半導体の二の舞になります。国際競争力が「どのように世界の競合他社よりも優れているのか」という独自の視点で企業を選ぶ。その上で、技術力が高い企業という理由で説得力を高めましょう。

 

◆グローバルというあいまいさ

グローバル展開している企業を指しているのか、海外で語学を活用して外国で働ける機会のある企業のことを指すのか。

グローバル企業とは、海外に関連現地法人があるレベルか、自社の営業拠点や支社があって、工場も構えている事実上営業の実行レベルで日本人が現地で海外の取引先と交渉をするレベルか。

国内でオペレーションをするだけで、海外支社の日本人とやりとりするだけであれば、語学は使いませんし、ネットや通信インフラがこれだけ発達しているので、わざわざ海外に駐在しなくても、日本で稼ぐことはできます。

というわけで、グローバルという単語についても抽象度が高いため、

自分が

*どのような立場や役割で、

*どのような人を相手に、

*どのように海外と接点を持って展開・活躍していきたいのか

まで明確にしてください。

 

海外に支社や拠点を持たずに、日本で高度専門的な技術力を駆使し、世界に通用する高いシェアを誇る日本の中小企業はたくさんあります。

それならば、わざわざ総合商社や自動車や化学や日用品や食品メーカーに行かずとも、日本の地方の小さな町から、世界へグローバル展開することもできます。

ダイナミックに、より大きな金額を動かし、より多くの人々へ影響を与えたい。それならば、銀行やコンサル、インフラメーカーやプラントエンジニアリング、通信、鉄鋼、物流業界だった通じますよね。

 

業界を併願して受けている学生がほとんどですから、絶対的にその業界にしか当てはまらないミラクルワードを繰り出す必要はありません。

ただ、少なくともなぜその業界(とその周辺の業界)にこだわっているのかという持論は必要で、なんでも簡単にひっくるめてからめとってしまう「グローバル」という抽象的なワードだけを企業を選ぶ軸としてESや面接で相手に伝えても、結局業界や企業理解や志望動機、ひいては自己分析が深まっていないと思われてしまいます。

 

◆企業選びの軸は詳しく具体的に

・ものづくりに携わっていて

・技術力があって

・グローバルに活躍できる

 

という3つの軸ですと、ほとんどのメーカーに当てはまるため、そこに自分がどのように関わり、どのようなスタイルで働きたいかというもう1つの視点を加えることで、より鮮明になります。

 例えば。

*産業の垣根を超えて幅広い業界の法人顧客を相手に、

*形として提供できる国際競争力の高いものづくりと

*生活の当たり前を根幹から支えるインフラによって

*多くの人たちと関わりながら長期的に信頼を構築し

*成約のあとも関係性を維持しながら利益を永続的に生み出せる仕組みを作れる仕事

 

に携わりたいというのが企業の選ぶ軸である。

と仮にするのであれば、だいぶ業界は絞れてくると思います。

 

あるいは、

*世界中の法人と個人の両方へアプローチができ

*高品質と低コストを両立できるものづくりに携わり

*長期ではなく成約までのスピードが短期的で目に見えて

*数を多く稼ぐことで個人の成果として報酬に反映される仕事

 

という観点から企業を探しているのであれば、製品の企画から販売までのサイクルが早い企業で、かつチームよりも個人の成果や実績が重視されるメーカーを選択することになるでしょう。

 

 

これらの考えが正解ではありせんが、分解して、切り分けて、さらに細かく働き方の中身まで想像を働かせることによって、自分がどんな業界や企業で仕事をすることが、適性が高く貢献性が高いという説得力を持たせることができるか考えてください。

 

就活を進めていく上で日々心境は変化し、自己PRも、就活の軸も変化します。

これで決まり、と思わずに、自問自答と模索をしながら、相手も自分の納得感のある言葉や文字で考え伝えてください。