コンサルティングという言葉が蔓延しています。
就活時にコンサルという言葉を聞くことは多いと思いますが、実態はどうなのでしょうか?
どんな仕事で、どんな適性が必要なのでしょうか?
このコンサルティングという業界、
・頭がいい
・給料が高い
・仕事内容がカッコイイ
というイメージがあり、エリートが活躍している業界として注目されることも多いです。
そのイメージにあやかって、「私たちはコンサルティング営業です」と、お客様に行って提案する従来型の営業をわざわざコンサルといって募集をかける会社も増えてきています。
◆コンサルって、どんな仕事?
コンサルの仕事は、クライアント(コンサルティングを依頼した顧客)の職場に出向き、与えられた問題を解決することが主となります。
その問題は、
・売上が低迷しているので原因を分析して解決策を提示してほしい
・M&Aをしたいが、候補となる企業について分析してほしい
・新しいサービスを立ち上げたいがマーケットの魅力度を調べ、自社がシェアを獲れるかシミュレーションしてほしい
・人事システムを導入する上で検討となる資料を作成してほしい
等、企業が経営している悩みを解決します。
◆具体的な仕事内容
・起きている問題に対してその原因を突き止めるための事実(データ)を収集し、今後の打ち手について検討するよう資料を作成する
・データがなければ、クライアント内でヒアリングを重ねて情報収集して資料にまとめる
・情報収集した内容をもとに、仮説を立てる。その仮説が正しそうか検討するための資料を作成する
基本的には、この繰り返しとなります。
データは数字がつきものです。
売上数字の分析や統計的処理等、数的処理が向いている人が必要となる職場です。
また、今ある情報が不確かかどうか確認する態度、様々な視点から論理的に正しいかどうかを検討する知的なタフさも必要となります。
そして、コンサルティング会社では、様々な業界を相手に仕事を請け負うのが普通です。
プロジェクトは、通常3か月程度です。
短期間で、書籍やネット、業界新聞や専門雑誌等の情報を集め、クイックラーニングした上で、自分なりに分析を加えられることが苦にならない人が向いています。
つまり・・・、毎日が卒業論文の作成といっていいでしょう。
これが好きな人って、一握りだと思いませんか?
あなたは卒論が好きで得意ですか?
でも、それが仕事なのです。
なぜクライアントは自社でやらずにコンサルに依頼するのか考えてみてください。
簡単です。
自分でできなかったり、したくなかったりするから依頼するんですよね。
◆コンサルの類型
外資の戦略コンサルや、人事や財務に特化したコンサル、M&Aに特化したコンサル、ITのシステムに特化したコンサル等、幅広いです。
得意領域に対応して細分化されていますが、ここではその詳細は省きます。
情報はいくらでも出てくるので、ネットで調べてみてください。
◆コンサルには2つのアプローチ方法が存在する
簡単にいえば、上流(高い目線でゼロから考える)か下流(他社の事例を応用する)という違いです。
・上流系
いわゆる戦略系コンサル(有名なところでは、マッキンゼーやBCG)などを指します。
コンサルが提案書をプレゼンテーションする得意先は、企業の経営者や経営企画部などのエリート部門です。
当然、クライアントサイドも知的能力は非常に高いメンバーが集まっています。
その彼らに対して、納得感のある資料を提案するのがこれらのコンサルです。
簡単にいえば、世間一般のエリート層に対して、本人たちが気づかないような事実を分析し説得力をもって伝えるという頭脳が求められ、それに対してクライアントはコンサルティングフィーを支払います。
(または、第三者から指摘してもらった方が社内を動かしやすいということで、コンサルが使われる場合もあります)
方程式を使うのではなく、使えそうな方程式自体を思いつくようなレベルです。
ちょっと頭がいい程度では話になりません。
・下流系
こちらは、過去に自社が担当したクライアントの成功体験を他社にも応用することで、コンサルティングフィーをもらっています。
独立して自営でやっているコンサルタントは、ほぼこちらに分類できますが、
大手ですと、船井総研などがこういった下流系のコンサルといえます。
この仕事においては、他社の事例を情報収集し、分析した上で使えそうなやり方をわかりやすくクライアントに伝えることが主となります。
他社の事例やノウハウを知っていることが重要なので、高度な知的レベルは求められません。
最低限のデータを読み解いた上で、クライアント向けの提案書を書ければなんとかなるレベルです。
◆いずれにせよやることは、事実を集めて分析し、ひたすら資料作り・・・
これに尽きます。
そして、この作業を得意先に席を借りて仕事をしていくのです。
コンサル会社のフィーは、稼働時間に対して支払われることも多く、無駄な時間は過ごせません。
息抜きもしにくく一定のプレッシャーを感じながら仕事をします。
クライアント先に席を置くわけですから、居心地のよい職場というわけではありません。
◆その後のキャリア
よく本などを出して講演しているコンサルティングファーム出身者は、コンサルティング会社で勝ち抜いた一部の猛者なのです。
ほとんどの人は、大して実績をあげられず、クライアントサイドに転職します。
具体的には、経営企画、マーケティング職、財務といった部署に転職していきますが、その選択肢は限られています。
決して甘い世界ではなく、変に夢を見ない方がいいでしょう。
以上のようにコンサルティングの現実は、卒論を作成する作業の連続であり、居心地の良い気を許せる職場はなく、その後のキャリアの選択肢も限られているのです。
ハッキリ言って向いている人は少ないと思います。
憧れだけのコンサルタント志望者には、他の業界にも目を向けた方が、きっとよいキャリアを歩めることを強調しておきます。