· 

面接での自己PR、それ本当に自分の強み?    

 

面接官をしていると、気になる点がいくつかあります。

 

◆その自己PR、エピソードとリンクしてる?

粘り強さがある、柔軟性がある、継続的にコツコツと努力することができる。

 

様々な表現で、自分の強みを結論から述べて、具体的な過去の行動事実(エピソード)を元に話すのは良いのです。

しかし、よくよく聴いてみると、その行動事実が、冒頭に結論として述べた柔軟性や粘り強さという強みと全く、あるいはほとんど関連していないケースを多く感じます。

 

(例)私には柔軟性があります。

私は、障がい者の方々の支援施設でボランティアをしています。その中で当初、周囲の人間に心を閉ざしている障がい者の方がいました。

私は、その方の気持ちに寄り添って、今なにを求めているのか、どのような語りかけや距離感で接するべきか試行錯誤しました。

その結果、その方と意思疎通を図ることができ、今ではその方から私へ話しかけに来てくれるようになりました。

 

このエピソード、そもそも「どのように」その障がい者の方との心の距離を縮めていったのかというプロセスにおける創意工夫の説明が抜け落ちています。

 

また、気持ちに寄り添い、心を通わせるという行動特性は、柔軟性があるというよりは、具体的な工夫の中身次第にはなりますが、「相手の真意に共感し理解を得ながら信頼を築く事ができる」という表現の方が望ましいかも知れません。

 

(例)私には粘り強さがあります

私は回転寿司で接客のアルバイトをしています。当初、社員とパート・アルバイトの仲が悪く、職場環境の改善が必要だと考えました。そこで私は、SNSのグループラインを作り、申し送り事項など情報共有を深めることにしました。また、SNSを使いこなせない方のために、連絡ノートを作り、気になった点などを書けるようにしました。

その結果、職場の雰囲気が良くなりました。

 

この方の、主体性はSNS等の情報共有ツールを作って連絡を密にするという行動で伝わりますが、その時にどう考えてどう行動したのかという自分の強みを裏付ける根幹の行動事実が、果たして情報共有ツールの作成なのでしょうか。

もしかしたら、他の行動事実、例えば他のパート・アルバイトメンバーが嫌がる仕事を率先して行い、社員の方の意向を自らくみ取りメンバーに共有するなど仲介・調整役として取り組んだ事例の方が、より自分の良さや強みを示せる行動事実かも知れません。

となると、強みは粘り強さ、というよりは、「現状改善のために人々の間に立ち率先して物事に取り組むことができる」という表現の方が近いです。

 

自分にどんな強みがあるのか。それは、本当に自分の1番のウリにしたい強みであるのか、という自己の客観的把握と、そのエピソード(行動事実)は、本当にその強みを裏づける証明としてリンクしているのか、という視座を磨いてください。

 

 

 

◆その場しのぎで言いっぱなしの発言が目立つ

論理的思考力、ロジック、という言葉でよく言われることですが、学生の皆さんに限らず転職希望者の方も、「ただ聞かれた事に反射的にその場しのぎで返しているだけ」という印象を受けます。

自己PRや学生時代に頑張ってきたこと、というような、時間をかけて準備してきた事に関しては論拠を明確に回答出来ているのですが、ちょっとイレギュラーな質問をされると、この傾向にあります。

 

 

Q.あなたは人より優れていると思いますか?

A.いえ、私は人より優れているとは思いません。小学校から現在に至るまで卓球を続けてきたので、継続力はあると思います。しかし、大学生活では一人暮らしで甘えている部分があると感じています。頭もあまりよくないので、人と比較して優れているとは言えませんが、これから努力して克服していこうと思います。

 

「全ての質問は自己PRである」という事を自覚してください。この質問に関しても、人より優秀ではないと認識している人を積極的に採用したいとは思いません。ただ、絶対的に優れていると言い切る事が、採用される事とも限りません。客観的に自分の強みや弱みを認識できているのか、という事が重要です。

たとえ、他者より優秀ではないと認識していたとしても、どんな点でどのようにそう思ったのか。それを証明する過去の行動事実が必要です。一人暮らしが、なぜすなわち甘えになるのでしょうか。そもそも、その学生にとって優秀という定義はなんなのか示せていません。その定義を明確にした上で、自分の過去の経験のどのような場面において人より劣っていると感じたのか表現してください。

また、全ての質問は自己PRですので、そのきっかけの出来事以降、どのような行動改善をして、今の自分につながるのかという事を、自分の強みと関連させて会話の最後はプラスで着地してください。

 

(例)

A.いえ、優れていると断言はできません。

私にとって優れているとは、苦手な状況や環境においても、逃げずに諦めないでやり抜く姿勢と行動力だと考えています。

私は小学校から現在まで12年間卓球を継続し、心身のタフさは鍛えられたと自負しています。

しかし、大学から一人暮らしをした事で、高校の部活時代よりも自由となり、時間を持て余してしまう事がありました。

以来私は、部活が休みの日でも自主練やトレーニングを行い、怠惰な時間は作らないように行動してきました。

道半ばではございますが、人より優れていると断言できるように、今後もこの姿勢は崩さずに、どんな環境に甘えずより向上していけるよう精進していきたいと考えています。

 

それを言う理由=根拠を明確にした上で、自分の(本当の)強みをどう打ち出していくのかという事を念頭に、全ての質問は自己PRだと思って回答してください。